つぶつぶいちご

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「激しさ」と「儚さ」―溺れるナイフ

これだけは何かに残しておかなければ!という衝動でこのブログをしたためています。

 

溺れるナイフ、見ました。—ひとこと、若さは鋭くて、儚い。

最初は重岡くんのリアコっぷりがやばいよ、と聞いて、見たくてうずうずしてたのですが、見はじめると気づいたらコウちゃんと夏芽の激しくも儚い恋模様に心を奪われていました……

 

コウちゃんがどこか神秘的で、手を伸ばしても届かない存在であるようなところに魅かれる夏芽も、またどこか「特別」な存在で。これは劇中で大友も言っていましたが。そんなふたりだったから、そして若さゆえか、貫くような激しく儚い恋だったのかなあ、なんて、思ったりしました。その激しい恋が時にお互いを傷つけることになり、それが火祭りの日に表出した……のかもしれません。

 

どこか神秘的で「特別」なコウちゃんとは対照的に、大友は「普通」を体現しているような人。影のない、太陽のような明るさを持った人。夏芽は、そんな人に愛されながら、でも最後にはコウちゃんを選んだんです。結局。それもまた、心のどこかでコウちゃんを忘れきれず、一途にコウちゃんを愛した夏芽の恋の激しさを物語っているような気がするのです。

 

一年後の火祭り、あのシーンは正直理解しきれていない部分もありますが…カナちゃんが夏芽に吐き捨てるように放った「もうコウちゃんには二度と関わらんといて」という一言が、ふたりが「特別」ゆえの残酷さを表しているような、そんな気がしました。ああ、儚いなあ…

 

あとこの映画で称賛すべきは、画面の圧倒的「美」です。正直スクリーンで見たかったと思わせるほどの美しさ……でも、今の私が見るからこんなに刺さるのかなあとも思っているので、今のタイミングでこの映画にめぐり合わせてくれたことには感謝です。

 

ふたりの儚くも激しい、分かり合えそうで分かり合えない、けどお互い離れることができない、そんなふたりの関係性が、純粋で一途な感情が、私の中に大きな爪痕を残していきました……どこか私にもわかるところがあるような気もしたけど、でも、このふたりだからこそ紡げる恋模様だから。ふたりがまっすぐすぎて、怖かった。でも心の底からうらやましかった。こんな感情を抱えながら見ているのは正直心が痛かったです。見終わって、見なきゃよかったとも思いました。

けど、なぜかもう一度見たいと思わされる、そんな映画なんてなかなかないと思います。とても苦しいけど、余韻に浸れるそんな良き映画に出会えて幸せです。